引っ越しや転勤、住宅ローンの負担が大きくなったときの債務整理の手段としてなど、さまざまな理由によって検討される住宅売却。
住宅を売却する方法には、不動産所有者の意思で行う「一般売却」のほか、金融機関などの債権者の合意を得て売却する「任意売却」や、裁判所を通して強制的に売却が行われる「競売」などがあります。
そこで今回は、それぞれの売却方法の概要や特徴を詳しくご紹介します。
住宅の売却にはどんな方法があるの?
住宅を売却するには「一般売却」「任意売却」「競売」の3つの方法があります。
しかし、売却時に不動産所有者がそれらの中から売却方法を選択するということではありません。売却する理由や不動産所有者の置かれている状況によって、その方法が異なるということです。
では、それぞれの売却方法を詳しくみていきましょう。
一般売却とは?
一般売却とは、住宅の買い替えや相続、転勤などのライフステージの変化により、所有者の意思で不動産を売却する方法のことを指します。
例えば「家族が増えたため広い住宅に引っ越したい」「親から相続した不動産を売却して現金化したい」などの理由が挙げられます。
一般売却を行う際、通常は不動産会社に仲介を依頼します。売主は不動産会社と相談しながら、売却価格や売却する時期などを自由に設定することが可能です。
住宅を売却する際の一般的な流れとしては次の通りです。
- 売却予定物件の査定を不動産会社に依頼する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 内覧に応じる
- 売買契約を締結する
- 家の引き渡しを行う
任意売却とは?
任意売却とは、住宅ローンの支払いが困難となった際に、ローンを借り入れした金融機関の同意を得て、任意で住宅を売却する方法のことです。
任意売却後にも債務が残ってしまった場合、債権者との協議のうえ、債務者が破綻しない範囲で分割返済が可能となる場合があります。
任意売却を行うことで、少なくとも5年は住宅ローンを組んだり、クレジットカードが作れなくなったりなどのデメリットはもちろんあります。
しかし、競売にかけられるよりも相場価格に近い金額での売却が期待できるため、「残債を少なくおさえることができる」というほか、「立ち退きを命じられることがない」「引っ越しなどのスケジュールをある程度自分で決めることが可能」など、自己破産よりもメリットが多いのが特徴です。
また、任意売却とはいえ、通常は一般売却の不動産売買と同じ手続きで行われるため、周りに不信感や不安を与えず物件売却の手続きを進めることも可能となります。
競売とは?
競売とは、住宅ローンの支払いが滞った際に、債権者である金融機関が担保としていた不動産を、裁判所を通じて強制的に売却することをいいます。
住宅購入時、多くの方が金融機関で住宅ローンを組むことになりますが、その際に金融機関は「抵当権」と呼ばれる担保を該当の不動産に設定します。
不動産所有者が住宅ローンの支払いができなくなった場合、金融機関は抵当権を基に裁判所に競売の申し立てをすることができるのです。
申し立て認可後、対象となる不動産が差し押さえられ競売手続きが開始し、競売にかけた物件が落札されたら、その売却代金を債務の支払いにあてられることとなります。
おわりに
今回は、住宅の売却方法である「一般売却」「任意売却」「競売」のそれぞれの概要や特徴をご紹介しました。
一般売却は住宅ローンの支払いに問題がない場合に行う、最も一般的な住宅売却方法となります。任意売却および競売は、そのどちらも住宅ローンの支払いが滞ってしまった際に選択する売却方法となりますが、任意売却の場合は通常、売却時期や引っ越しのスケジュールなどを所有者側で決めることができます。それに対し競売の場合は、金融機関が裁判所を通じて強制的に売却されるため、所有者の意思や都合は尊重されません。
そのため、万が一ローンの支払いが難しくなってきても、できるだけ競売を回避できるよう早目に対処することが重要といえるでしょう。