住宅やビルなどを建設する際には、事前に建設地の地盤調査を行います。地盤調査とは、建物・構造物を建てる前に地盤の強度を把握するために行うものです。
通常、建築物を設計する際には、地震の揺れや建物自体の重さに耐えられるよう「構造計算」を行います。構造計算を行うためには、地盤の状態を正確に把握しておかなければなりません。
そのため、新築住宅を建てる際や、中古住宅の建て替えの際には、必ず地盤調査を行います。地盤沈下で家が傾くといったことがないよう、安全性の高い家づくりをするためにも、住宅を建てる前に地盤調査を行うことは不可欠といえるでしょう。
今回は、住宅を建てる前に必ず行う地盤調査について、費用の目安や業者選びのポイントなどをご紹介します。
地盤調査の種類と費用相場・調査期間の目安
地盤調査の費用相場やかかる期間は、調査方法によって異なります。地盤調査には現地調査、資料調査、周辺調査の大きく3つがあります。
現地調査
現地調査には一般的に以下の4種類が挙げられます。
- スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
- スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)
- ボーリング調査(標準貫入試験)
- 表面波探査法
1. スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
一般の一戸建て住宅において、最も多く利用されている調査方法です。
スクリューウエイト貫入試験は、鉄の棒(ロッド)にドリル状の部品(スクリューポイント)を取り付け、おもりで荷重をかけます。そこから、スクリューポイントを回して、地中に貫入させていくという手順の調査方法です。おもりの重さや回転させた回数によって地盤の強度を調べます。住宅建築予定地の四隅と中央の5点で調査を実施するケースが多いです。
費用が安く、たくさんデータをとれるので、一戸建てのような小規模な建物に適しているといえます。
費用相場は8万円前後、調査期間は数時間で完了します。
2. スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)
本サイトを運営するジャパンホームシールドは、上記のSWS試験に加えて、スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)と呼ばれる地盤調査を組み合わせた高精度な調査方法を採用しています。
従来のSWS試験では「ジャリジャリ」などの音で土質(砂質土・粘性土・盛土)を推定していました。これに対し、SDS試験ではトルクなどのパラメータや地形条件、近隣ボーリングデータなどを参考に、土質の推定精度を高めることに成功しました。土の種類が分かることで地盤の強さがより正確に判断することができ、地盤事故の防止や必要ない補強工事の削減につながっています。
これまでの調査実績は累計で60万棟を突破し、お客様にご好評いただいております。
費用相場は8万円〜10万円、調査期間は数時間程度です。
3. ボーリング調査(標準貫入試験)
ボーリング調査(標準貫入試験)は、ボーリングで地面に8cmくらいの穴を開け、そこにサンプラーと呼ばれる鉄の筒状部品を挿入します。そのあと、サンプラーの上からハンマーを所定の高さで落下させて、何度ハンマーによる打撃を要したかによって地盤の強度を測定します。
マンションなど杭を打つための支持層を把握する必要がある建築物や、地下がある建物などでよく用いられる手法です。多くの地盤調査に利用されていて、実績も豊富にあるため、データの信頼性が高く、その分調査コストも高いのが特徴です。
費用相場は20万円〜30万円、調査期間は2~3日程度かかります。
4. 表面波探査法
表面波探査法は、起震器と呼ばれる振動を発生させる装置と、振動を捉える検出器を地面に設置します。起震器から発生した振動が地面に伝わり、その振動の伝わる速さで地盤の強度を測定します。
測定器の設置方法や調査担当者の技量、地中の空洞や埋設物によって、測定結果が左右されやすい調査方法です。
費用相場は8万円前後、調査期間は数時間で完了します。
調査方法による費用・期間の比較
これまでご紹介した地盤調査方法の特徴をまとめます。
特徴 | 費用 | 期間 | |
---|---|---|---|
スクリューウエイト貫入試験(SWS試験) |
| 5万円〜10万円 | 数時間程度 |
スクリュードライバーサウンディング |
| 8万円〜10万円 | 数時間程度 |
ボーリング調査(標準貫入試験) |
| 20万円〜30万円 | 約2日〜3日 |
表面波探査法 |
| 8万円前後 | 数時間程度 |
上記の内容は、一般的な敷地面積で考えた場合の目安です。またどの調査方法が適しているかは、土地の状態や敷地の広さ、建てたい家の形状によっても変わります。
さらに、地盤に問題が見つかった場合、地盤改良工事を行う必要があります。その場合は別途50万円〜200万円程度の追加費用がかかることも注意しなければなりません。
詳細は、依頼している設計士やハウスメーカー、各調査会社へお問い合わせください。
資料調査(地図を見て地盤の状態を推測)
資料調査では、まず地図と土地条件図を見て、台地か低地なのかを確認します。昔の地図と今の地図を比べると、低くなっている場所は地盤が削られ、高くなっている場所は土が盛られているなどといったことがわかります。また、土の種類の分布や、土地条件図によって土地の成り立ちを調べることで地盤の強度をある程度推測できます。
地形断面図/3D画像
地形図
土地条件図
旧版地形図
旧航空写真
周辺調査(周辺の建物や道路の様子を観察)
周辺の建物の傾き状況などをチェックします。壁の亀裂やブロック塀のたわみなどがあるとその付近一帯は過去に地盤沈下した可能性があると考えられます。また、道路面の波うちなども沈下の危険性を示すひとつの指標になります。