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地盤調査報告書のデータの見方を紹介
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地盤調査が完了すると、調査結果を表す調査報告書が届きます。調査報告書には専門用語が並んでいるため、「どこを見ればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、木造一般住宅の地盤調査で多く採用されている、スクリュードライバーサウンディング試験(SWS試験)の報告書を参考に、地盤調査報告書に載っているデータの見方をご紹介します。

スクリュードライバーサウンディング試験(SWS試験)のデータの見方

スクリュードライバーサウンディング試験は、先端にスクリューポイントをつけたロッドと呼ばれる鉄棒を地面に突き立て、5回に分けて重りを乗せてどれくらいロッドが沈むかを測定します。重りによる測定のあとは、ハンドルを回転させて土中に差し込み、地盤の強度を測定するという流れです。調査報告書に記載されている項目と、そのデータが持つ意味について以下でご説明します。

貫入深さ スクリュードライバーサウンディング試験では、25㎝貫入させるのにハンドルを何回転させたかで、その地盤の強度を測定します。貫入深さは地表面からの深度を表します。
荷重Wsw 5、15、25、50、75、100kgと段階的に荷重をかけてロッドの沈み方を測定します。荷重Wswはかけた荷重を表します。
半回転数Na 重りの荷重だけで沈まない場合、25㎝貫入させるのに必要なロッドの半回転数を調べることで、地盤の固さを測定します。半回転数Naは25cm貫入するのに要した半回転数です。
1mあたりの半回数Nsw 半回転数を1mあたりに置き換えたもの。Nsw=Na×100/L(L=貫入量)で表します。
荷重のグラフ 荷重Wswをグラフ化したもの。どれくらいの荷重でロッドが沈んだかが分かります。荷重グラフの範囲内でグラフが止まっている場合は、比較的弱い地盤であることを意味します。
1mあたりの半回転数のグラフ この範囲までグラフが伸びている場合、100kgの重りでも沈まないことを意味し、地盤にそれなりの強度があることが分かります。
換算N値 N値は地盤の硬さを表す指標であり、この値が大きいほど地盤が硬くしまっていることを意味します。換算N値はスクリュードライバーサウンディング試験の換算式から算出された数値です。

貫入状態の見方

調査報告書には、地盤の貫入状態を示す項目もあります。

ストン 早い自沈の場合
スルスル 「ストン」と「ジンワリ」の中間的な速さ
ジンワリ 「スルスル」と「ユックリ」の中間的な速さ
ユックリ ゆっくりと自沈する場合
打撃 荷重と回転を加えても貫入できず、上部より人力で打撃を加えること
貫入不能 打撃などを加えても貫入しない

貫入状態は、「記事」と呼ばれるところに記載されています。ロッド貫入時の音や感触などを示すデータです。ここを見ることで地盤の推定土質、貫入時の状態などが分かります。

自沈層の有無を見る

自沈層と表現される地盤は、ハンドルを回転させなくても重りを付けただけで沈んでいく地盤です。スクリュードライバーサウンディング試験では、「荷重+回転数」で沈下状態を調べ、地盤の硬さを判断します。半回転数がゼロであれば自沈層と判断され、地盤補強工事が必要な場合もあります。つまり、自沈層の有無が地盤補強工事の必要性を判断する1つの基準といえます。

調査データだけで判断してはいけない

地盤の強さは、地盤調査のデータだけでは分かりません。地盤の造成状況や周辺環境、地形や土質などさまざまな角度から地盤状況を調べ、そのデータも判断材料として加味する必要があります。そのための資料収集や現地調査を行い、調査データを裏付けることで精度の高い地盤の解析が可能です。

おわりに

地盤の補強工事の必要性の有無は、全体の地盤傾向や地形条件などから総合的に判断することになりますが、目安となるのは自沈層です。つまり、調査の結果、自沈層が全く認められない場合は、地盤補強の必要性は少なくなります。しかし、新しい盛土や埋め戻し土など、自沈層がなくても地盤補強が必要になる場合もあります。資料調査、地形状況の確認など、幅広く情報を集めて地盤の強さを検討することが望ましいでしょう。

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