地盤と建物のWebメディア。知って、学んで、解決する!
地盤と建物のWebメディア。知って、学んで、解決する!
人気の記事
室戸ユネスコ世界ジオパーク「地殻変動の最前線」
この記事をシェアする
  • Facebook
  • X
  • LINE
  • URLをコピー

高知県東部の室戸市全域をエリアとする室戸ユネスコ世界ジオパーク。

今でも大地が隆起し続ける地殻変動の最前線であり、地球のダイナミックな営みによって生じた地形や地質を観察できる地質学研究の世界的なスポットです。

今回は室戸ジオパーク推進協議会の高橋さんと小笠原さん、岬観光ホテルの千頭( ちかみ)さん夫妻にご案内いただきました。

シマシマの岩が普通やと思うちょった

高知龍馬空港から雄大な太平洋を感じながら海岸線を車で走ること80分、高知の先っちょに室戸市はあります。

国道から2分ほど歩くと表紙のようなシマシマ模様の少し異様な岩が現れました。

室戸に点在するタービダイト
室戸に点在するタービダイト

これはタービダイトと呼ばれる約1600万年前に深海に堆積した砂と泥が固まった岩。室戸沖の南海トラフと呼ばれる場所で陸のプレートが海のプレートに押され、大地が隆起することによって、地上に現れたものです。

室戸で生まれ育ち旅館を経営する千頭(ちかみ)さんは「子どものころから見てるから、岩はシマシマが普通やと思うちょった」と土佐弁で教えてくれました。

今にも動き出しそうな生命力あふれるアコウ

そこから少し歩くと突然現れる大樹は国の天然記念物に指定されているアコウの木。冬でも温暖な室戸には亜熱帯植物が多く茂っています。

無数の根が岩肌を締め付けるように張り巡らされた姿は、まるで自らの意思を持っているかのよう。常に強風が吹き荒れる室戸で生き抜くために、このように成長するのです。エネルギーに満ちたこの大樹を目の前にすると、地球の偉大さ、自然の迫力にただただ圧倒されます。

地殻変動のたびに新しい大地が生まれる室戸。幕末の志士たちは、いったいどんな景色を見ていたのでしょう。

次に、この隆起し続ける大地で生き抜いてきた人々の暮らしをのぞいてみましょう。

海と陸が出会う場所とは?

室戸沖には海のプレートと陸のプレートがぶつかる南海トラフと呼ばれる場所があります。そこで海のプレートが陸を押し続けることによって室戸は1000 年あたり2メートルという驚異的な速さで大地が持ち上がっています。海中の大地が持ち上がり、地上に姿を現したとき、新しい大地が誕生するのです。

室戸の金目鯛が美味しいワケ

室戸の東海岸は陸地から近い距離の海中に深さ1000mの巨大な崖があります。そこには栄養豊富な海洋深層水が湧き上がり、良質な植物プランクトンが豊富に発生しているため、良い漁場となっているのです。

また、漁場が近いことから鮮度を保ったまま魚の運搬が出来るため、深海の高級魚である金目鯛も日戻り漁※で味わうことが出来ます。他にもブリ、さば、アジ等も大敷と呼ばれる定置網漁で漁獲されています。※日戻り漁/漁が終了後すぐに港に帰り、その日のうちに魚を市場に流通する漁

美味しい作物がつくれる秘密は?

室戸には「海成段丘」と呼ばれるかつて海底だった平坦面が隆起した台地があります。

水はけの良い砂や泥で出来ているため土壌が良く、標高180mで遮るものがないので日照時間の長いこの場所は、作物を育てるのに絶好のロケーションです。

「畑は土作りが大事」と言われますが、室戸の土作りはおよそ12万5000 年もの時間をかけているのです。土がいいので何を作っても美味しくなるというわけです!

室戸ジオパーク推進協議会高橋さん
室戸ジオパーク推進協議会高橋さん
 

室戸市 吉良川(きらがわ)の街並 

室戸ジオパーク推進協議会小笠原さん
室戸ジオパーク推進協議会小笠原さん
 

続いて、厳しい自然と共生するための土佐の知恵を、小笠原さんにご案内いただいました!

室戸は日本観測史上最大風速69.8m/sを記録した地です。

台風銀座と呼ばれる高知県で唯一の重要伝統的建造物群保存地区の吉良川には激しい風雨に耐える工夫がたくさんあります。

1.土佐漆喰

土佐漆喰

土佐漆喰とは、江戸時代に高知県で生まれた優れた耐久性・防火性をもつ漆喰です。その耐久性と仕上がりの美しさが認められ、全国的に施工されています。

2.右瓦、左瓦

右瓦、左瓦

風雨が強い方向によって瓦が異なって配置されています。左瓦は全国的にも珍しい光景です。

3.水切り瓦

水切り瓦

水切り瓦は、台風などの横なぐりの雨が建物の壁を打ち付けることを防ぐ建築技法。水切り瓦の段数は、その家の豊かさの象徴なんだそうです。

流れ星に願い事が5回も唱えられる!?

300 度を海に囲まれた室戸岬では東の海から太陽が昇り、西の海に太陽が沈みます。

岬観光ホテルを経営する千頭さんご夫妻
岬観光ホテルを経営する千頭さんご夫妻
 

室戸の西側で生まれ東側のお嫁さんをもらった千頭さん(ご主人)にお話を伺いました。

室戸では、夜になると月と星と灯台の光だけになるそうです。

「流れ星がごっつうなごお流れる。室戸では願い事を5回は唱えられるきね。」とロマンチックに教えてくれました。

よかったら記事のシェアをお願いします!
ジャパわん
facebook
X
LINE
URLをコピー