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軟弱地盤対策が必要な土地の見極め方|主な調査方法と軟弱地盤対策方法を解説
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マイホームを建てる際は、その土地がどんな地盤状況なのか知っておきましょう。 もしマイホームを建築する土地が軟弱で、軟弱地盤対策が必要となると、数十万から数百万円が余計にかかります。そのため、建てる土地に軟弱地盤対策が必要かどうかを見極めなくてはなりません。素人が軟弱地盤かどうか推定することは困難なため、専門家に調査を依頼し、調査結果により必要があれば対策することになります。軟弱地盤が分布していそうな土地を調べる方法、地盤調査方法、そして軟弱地盤の対策方法をまとめました。

 

どのような地形に軟弱地盤が多いのか、軟弱地盤の対策にはどんな方法があるのか、基礎知識を身につけてマイホームの建築計画を進めましょう。最後にジャパンホームシールドで提供している土地情報提供サービスについても触れていますので、マイホームを建てる前に、その土地が軟弱地盤かどうかを見極めるためにぜひご活用ください。

 

軟弱地盤の基礎知識

軟弱地盤とはそもそもどういう地盤のことを言うのか、そして軟弱地盤対策は基本的にどのようなことを行うのかについて説明します。

 

軟弱地盤とは

軟弱地盤とは、泥や多量の水を含んだ軟らかい地盤のことです。植物の遺骸が集まってできた腐植土という土が分布している地域も軟弱地盤と言えます。 軟弱地盤は、水を多く含むため地盤の安定性が低いという特徴があります。そのため、軟弱地盤の上に何も対策をせずに建物を建てると地盤とともに建物が沈みます。地盤調査をすると、地盤改良工事(地盤補強工事)が必要という結果になるでしょう。

軟弱地盤は大きな地震が発生すると、硬い地盤に比べて大きな揺れが発生しやすく、結果として家屋の被害が大きくなる点が問題となります。

軟弱地盤は、臨海部や河川周辺地域など、低湿地に多く見られます。このような条件に合致する土地は、河川の氾濫など水害が繰り返し発生している地域も少なくありません。

 

軟弱地盤対策とは

軟弱地盤の対策は、建物の基礎の補強や地盤を改良または補強する工事を実施することです。具体的には、建物の重みに地盤が耐えられるように杭を打ったり地盤を固めたりします。建物の重さや地盤の強度、支持層と言われる硬い地盤が分布する深度によって、適切な工法が地盤調査会社から提案されます。

 

軟弱地盤かどうかを見極めるポイント

軟弱地盤かどうかを見極めるポイントは以下の3点にまとめられます。

  • 河川や湿地などの水辺に近い土地かどうか
  • どのような用途に使われていた土地か
  • 近隣の建物が傾いているか

順番に詳しく解説します。

 

河川や湿地などの水辺に近い土地かどうか

水辺に近い土地かどうかは、最初にチェックするべきポイントです。河川や湖沼、湿地などの水辺に近いと、軟弱地盤が分布している可能性があります。その理由は、地盤に水分が多く含まれている恐れがあるためです。また、過去に水害が起こっている地域は、洪水時に軟らかい粘土が堆積していることがあり、軟弱な地盤が分布している可能性があります。過去の水害については、各自治体が作成しているハザードマップで浸水エリアを確認するのも良いでしょう。

また、地名に着目することも、軟弱地盤かどうかを判別するひとつの手がかりです。地名に水や低地を表す文字、災害が起きやすいことを示す文字が含まれていると、軟弱地盤の可能性があります。
  • 水を表す文字:川、池、浜、津など
  • 低地を表す文字:谷、下、溝、深など
  • 災害を表す文字:蛇、竜、牛、鷹、梅、柿など

災害を表す文字に「牛」や「梅」があることは意外に思われるかもしれません。実は、動物や植物を表す文字は、牛→「憂し」、梅→「埋める」のように、過去に起きた災害を表す場合があります。

 

どのような用途に使われていた土地か

2番目のチェックポイントは、その土地の用途です。過去に田畑や水路、ため池として使われていると、地盤が緩くなっている場合があります。この場合も、昔の地図と照らし合わせて確認してみると良いでしょう。

 

近隣の建物が傾いているか

最後に、近隣の建物が傾いていないか、近くを歩きながら確認してください。購入予定の土地の周囲に傾いている家はないでしょうか。そのような建物が近くにあれば、軟弱地盤によって沈下しやすい土地である可能性があります 。

 

これらのチェックポイントに当てはまっている土地は、軟弱地盤の可能性があります。マイホームを建築してしまってから軟弱地盤だと判明すると大変です。マイホームを建てようとしている土地がある場合は、事前にどんな土地なのか調べ、地盤調査を行って地盤の状態を調べることを検討しましょう。

 

軟弱地盤の主な調査方法

軟弱地盤の主な調査方法には2種類あります。

  • スクリューウエイトサウンディング試験
  • 標準貫入試験(ボーリング調査)

それぞれの調査方法の特徴と、どのようなケースでどちらを選べば良いのかを把握しておきましょう。

 

スクリューウエイトサウンディング試験

スクリューウエイトサウンディング試験 とは、日本の戸建住宅の地盤調査によく用いられる手法です。この手法は、深さ10メートル程度の調査に用いられます。1917年にスウェーデンで路盤の実態を調べるために実施するようになった調査方法で、それが北欧諸国に広がり、世界中に広まりました。

 

地盤調査にはスクリューウエイトサウンディング試験機を用い、重りを載せたネジ状の先端部が地中にどのくらいの荷重で貫入するのか、100kgの荷重を載せて何回半回転したのかを調べることで地盤の硬軟を調べます。

 

標準貫入試験(ボーリング調査)

標準貫入試験(ボーリング調査)は、正確な地盤強度を調べたい場合に用いる方法で、中規模~大規模の構造物の建築の際に用いるケースが多い調査方法です。

 

標準貫入試験は63.5キログラムのハンマーを76センチメートルの高さから落下させ、サンプラーが30センチメートル貫入するまでにかかった打撃回数で地盤強度を測ります。通常、深度1mごと標準貫入試験を行い、この打撃回数をN値と言います。サンプラーが貫入する際にその深度の試料が採取可能です。

 

標準貫入試験(ボーリング調査)を行うことで、正確な地盤強度が確認できます。乱れの少ない試料を採取することで、さまざまな土の試験ができ、地盤の性質を詳しく調べることが可能です。しかし、スクリューウエイトサウンディング試験に比べて作業スペースや費用、調査日数がかかる点がデメリットです。

 

規模の大きい造成地の軟弱地盤対策に用いられる主な工法

軟弱地盤の調査を行った結果、地盤改良や補強工事の必要があると判断されれば、その状態に応じた適切な軟弱地盤対策が必要です。軟弱地盤対策に用いる工法はいくつかあります。一般の住宅地での軟弱地盤対策としては、表層地盤改良工法、柱状地盤改良工法、小口径鋼管杭工法、RC杭工法などがあります。ここでは、規模の大きい造成地に行われている軟弱地盤対策について紹介します。

 

適切な軟弱地盤対策が造成時にされていると、宅地ごとの地盤改良工事が不要となる場合があります。造成地の土地を購入を予定している方は、どんな軟弱地盤対策がされているのか不動産業者に聞いてみましょう。

  • 軟弱地盤対策
  • 表層処理工法
  • サンドドレーン工法
  • サンドコンパクションパイル工法
  • サーチャージ工法
  • プレロード工法
  • 置換工法

それぞれの工法の概要と特徴について説明します。

 

表層処理工法

表層処理工法 は、地盤表面を石灰やセメントで処理したり、排水溝を設置あるいは改良したりすることで軟弱地盤処理工事を容易にする工法です。表面処理工法には、施設材工法、表層混合処理工法、表層排水工法、サンドマット工法といった工法が含まれます。改良深度は2mと、比較的浅く小規模な建物でよく行われる点が特徴です。

サンドドレーン工法

サンドドレーン工法 とは、地盤中に適当な間隔で鉛直方向にドレーン(排水)の役割を果たす透水性の高い砂柱を設置する工法で、バーチカルドレーン工法の一種です。排水の役割を果たす砂柱を設置することで、水平方向の排水距離を短くし、土を盛ることによる重みで地盤の排水と沈下を促進し、地盤を強化することを目的とします。打設深度は40mぐらいまで可能です。

サンドコンパクションパイル工法

サンドコンパクションパイル工法も、サンドドレーン工法と同様に砂を使う工法です。軟弱地盤の中に砂を打ち込むことで密度が高く強い砂の「杭」を造り、軟弱地盤を締め固めます。この砂杭は、サンドドレーン工法の砂柱と同様、排水を促す効果もありますが、主な目的は地盤の支持力増加により地盤沈下を少なくすることです。この工法は、地震時の液状化予防にも効果があります。

サーチャージ工法

サーチャージ工法は、軟弱地盤に土を盛って荷重をかけ、圧密沈下を促進させた後に実際の建物を建築する載荷重工法の一種です。サーチャージ工法の場合、予定以上の重さがある盛土をかけて圧密沈下を促し、その後過剰分の盛土(余盛分)を取り除いて仕上げるという特徴があります。別名余盛り工法とも呼ばれる工法です。

プレロード工法

プレロード工法はプレローディング工法とも呼ばれ、建物の施工に先立って盛土を入れ、軟弱地盤に荷重をかけた状態で一定期間放置した後、盛土を除去する工法です。サーチャージ工法と似ていますが、サーチャージ工法は予定荷重以上の重みを軟弱地盤にかけ、その後予定量を残して余分な部分だけ除去する点が違います。プレロード工法も載荷重工法の一種で、サンドドレーン工法 などと組み合わせて取り入れられる工法です。

置換工法

置換工法とは、軟弱地盤の土を一部、あるいはすべて取り除いた後、良質の土に入れ替えてせん断抵抗の増加や沈下量の減少を図る工法です。せん断抵抗とは、土が持っている外圧に対する抵抗力のことで、この抵抗力を超えた外圧がかかると土は破壊されます 。良質土を入れることでせん断抵抗力は増加します。

 

ジャパンホームシールドの土地情報提供サービス

ジャパンホームシールドでは、一般ユーザーには地盤サポートマップを提供しています。(マイホームの建築予定地が軟弱地盤であるのか推定するためには、土地の情報を収集しなくてはなりません。ジャパンホームシールドでは過去の地盤調査の実績や自然災害のリスク情報など土地の情報をweb上で分かりやすく提供しています。

地盤が強いか弱いかどうかを判断するだけではなく、自然災害のリスク情報とその対策について網羅している点が、土地情報レポートの特徴です。

地盤サポートマップで分かることは、以下の通りです。

  • 土地の成り立ち
  • 地震に関する情報
  • 浸水・土砂災害の情報
  • 地盤に関する情報
  • 液状化に関する情報
  • 避難施設に関する情報

お知らせする情報の具体的な内容について、簡単にまとめましたのでご覧ください。

 

【土地の成り立ち】

その場所の成り立ちや、これまでの利用履歴がわかる項目です。旧版地形図という昔の地図や過去の航空写真を見ると、どのような使われ方をしていたのか推測できます。個人では昔の地図を集めるだけでも大変ですので、軟弱地盤を調べるのにかなり便利です。

【地震に関する情報】 

地震が発生しやすいかどうかという情報や、地震が発生したらどのぐらい揺れやすいかについて分かる項目です。地震の発生しやすさについては、今後30年間に震度6弱、あるいは震度5弱の地震に見舞われる確率が色で示されます。

【浸水・土砂災害の情報】

豪雨が発生した場合に浸水の可能性があるかどうか、浸水の可能性があればどのぐらいの深さまで浸水するか、また土砂災害の可能性があるかどうかが分かる情報です。地方自治体で発表しているハザードマップでも大まかには確認できますが、ピンポイントで詳しい情報が分かります。

【地盤に関する情報】

指定された場所の地形や状況などを調査することにより、その土地の土質やその土が堆積した時代、土地条件や地形区分、地盤力が分かります。例えば地形区分が干拓地であれば、地盤は軟弱であることが予想される、という情報をお知らせします。また、地盤力では地盤の強さを4段階で表示し、地盤補強が必要かどうかを判断する材料を提供していることも特徴です。

【液状化に関する情報】

液状化マップから、その土地が液状化しやすいかどうかをお伝えする項目です。指定場所の周辺地図で、液状化しやすい部分と液状化しにくい部分を色分けして、ひと目で問題があるかどうかが分かるようになっています。液状化の可能性が高い土地の場合は、スクリューウエイトサウンディング試験などを使ってさらに詳しい調査を行い、どのような地盤改良工事をするかの検討材料を得ることも可能です。

【避難施設に関する情報】

災害が発生したときに利用するべき避難施設の場所までの地図と距離、1km圏内に避難場所は何カ所あるかを説明している項目です。

 

まずは地盤と土地の情報を調べましょう

軟弱地盤が分布してそうな土地を調べる方法、地盤調査方法、そして軟弱地盤の対策方法を紹介しました。マイホームを建てる直前にスクリューウエイトサウンディング試験といった地盤調査を実施するのではなく、まずはマイホームを建てたい土地の情報を収集して、軟弱地盤の可能性があるかどうかをチェックしましょう。あわせて、洪水・浸水のリスクなど自然災害に遭う可能性について調べることをお勧めします。

 

ジャパンホームシールドの地盤サポートマップは、その土地の情報がまとまっており、地盤の持つリスクが分かる資料です。地盤調査に先立って、まずは無料の地盤サポートマップをご利用いただき、土地情報を確認することをおすすめします。

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